第五回「めねっと版 当事者講師養成 及び スキルアップ講座」開催

8月8日に ZOOMを活用したWEB方式で、5回目の 「めねっと版 当事者講師養成 及び スキルアップ講座」が 開催されました。
今回の内容は 「実際にやってみよう!」の1回目 これまで講師経験の無い方に、自分自身のことを テーマとして 話をしてもらいます。
発表者は、めねっと北広島を きらりん組長と一緒に立ち上げ、外に出る事にチャレンジし続けている、副会長の「チコちゃん」こと納谷裕子さんと、生まれてすぐに視力を失い、奥さんも同じ全盲の ご夫婦二人で、お子さんを 立派に育てあげた「かっちゃん」こと杉本勝久さんです。
二人の発表は とても緊張していたと思いますが、受講者が深く 聴き入ってしまう、とても素敵な 講話でした。
この素敵な講話に対して、講習に参加した 会員から 感想文を提出して もらいましたので、この場を使い 今回も発表させていただきます。


一人目は「さっち」こと永井さんです。

ちこちゃん、かっちゃん、先日はお疲れ様でした。
私はアシストの ひとりとして参加させて 頂きました。
今回のお二人の違いは、チコちゃんは中途で、かっちゃんは 生まれてすぐに 視覚障害者となったことだと思います。
見えていた ちこちゃんは、自分が眼の病気を 知った時の苦悩と 不安な日々を 語ってくれましたが、講座で お話しするのも 辛かったと思います。
山口さんとの出会いから ’めねっと’ で 仲間が出来、また様々な 障害者サービスを 使うことによって、心の視野が 広がったとのこと。
それは 自分のありのままを 受け入れようとする力が、ちこちゃんに 大きく働いたからのような気がします。
かっちゃんは カトリックの信者仲間ということもあり、電話でよく話します。かっちゃんが言うには、生まれた時から 見えないので、それが自分にとっては 当たり前の世界 とのことです。
’ 不便だけど不幸じゃない’ と言っていましたが、彼の場合は ’不便なことも幸せ ’ に してしまう時があります。
盲人を 一括りで考えないで欲しい という彼は、盲人だから 無理だろうと 勝手に制約されることに 抵抗があるでしょうし、見えることが 全てではないことを とてもよく知っています。
笑顔がステキな ちこちゃんや、ぶっとびの かっちゃんのような人達の 出前講座?を どんどん出来る日が 来ますように!
さっちこと永井も、これからも 共にいさせてください。


二人目は「さわっち」こと澤田くんです。

 これまでの「先輩講師の講話を 聞いてみよう!」では 4人の講師が 経験を語りました。
 社会を一度は 普通に見えていた状況で経験し、中途で視覚障がい者と なった方々。徐々に見えにくく なってきた方や 急に視力低下が現れた方、医師や周囲との葛藤や、自分自身での 処理の仕方も それぞれで学んだ 深いものでした。
 今回は「実際にやってみよう!その1」で納谷さんと杉本さんの登場。
 納谷さん(女性)は、もともとの自分、見えなくなってゆくと 宣告されたときの自分、今の自分で「心の変化を 受け取って欲しい」と 何を理解してもらいたいかを 最初に伝えました。
 若い時は強度の近眼。分厚い眼鏡はかけていたが 社会で働き、結婚し、子どももいた。年齢を重ねてゆくうちに 視覚に違和感が。何人かの眼科医に「色変」と診断された。「だんだん視力低下し、見えなくなってゆく」と告げられた。
 病気について 自分で色々調べた。だが、知れば知るほど「失明への恐怖」に 落ち込む。周りの友達は「つらい」という気持ちを 受け入れてくれたが、自分自身での心で 受け入れることができなかった。それを他人へ 説明するのにも 苦労を要した。
 たまたま 眼科医の紹介で、同じ病気の人と 接する機会を得た。同じ立場や 症状を持つ人と接することで、気持ちの変化がみられた。
 今まで「見て理解できていたこと(風景や人の顔など)がわからないと、自分がどう接してもらえるかに 不安を感じ、そこを受け入れて変化に繋げようとしないとダメだ」。そして、「誰かと共有し、元気になれる方向へ 進みたいという気持ちを 持つことができた」。
 結果として、納谷さんは次のように整理した。
①実際に 自分で動いた結果、気持ちを共有できたり、元気をもらえる環境を 手に入れることができた。
②同行援護の利用など、使えるサービスを知り(必要性も理解し)、動けることで 心の視野を広げることができた。
③ただ「できない」と言うだけではなく、「できるように する方法を学べる環境」の 大切さに気づけた。
④この経験を活かし、「めねっと」を活用し、みんなが 前に進める環境、少しでもプラスに方向転換する 支援をしたいという目標へ繋がった。
 気持ちを正直に 伝える内容。マイナスの自分と、プラスに方向転換できた(元気に変えられた)ストーリーが話や雰囲気に現れていました。
 杉本さん(男性)は、眼のこと、自分なりの人生観を中心に 話しをしました。
 未熟児網膜症という 病気で見えなくなりました。小学校から盲学校で学び、高校卒業後は、マッサージなどを勉強し、その道へ進んだ。
 盲学校でマッサージなどを勉強すると、中途で視覚障がいになり、180度方向転換し、同じ道を目指す方々と出会う。そこで 中途で視覚障がいになった方々と ふれあうことで 理解が深まり、視覚障がいの幅が広がった。このような経験から「盲学校だけ(視覚障がい者)の 世界ではなく、一般社会で自分が どのような人間かを試して、確認したかった。それを含めて 自分を高めたい」と実感。
 盲学校での教育(家族も含む)では、「外へ外へと指導され 社会を知ることができる方」と、「障がいだからと言って 閉じこもりがちの方」に 現実として 分かれてしまう傾向にある。
 このような話から 杉本さんは自分の考えを 次のようにまとめた。
①一人の見えない人と いうだけで、見えない人が 全員同じだとは 思われたくない。
誰でも みんな違う個々だと 思って欲しい。
②「やるかやらないか」「するかしないか」がポイント。迷ったときは「やってみる」ようにしている。「できない」とは 言わないようにもしている。また、それをハッキリさせることが重要。
③振り返ることはしても、もどることはしない。
④最終的に大事にしているのは コミュニケーション。見えないことを理由に「周りの普通が わからない」は通じない。「それを教えてくれる 周りに助けられている」、「若いうちは 教えてくれるが、それに気づけないと今後困る」。
 子育ての話もあり、自分の子どもが「視覚障がい者の子どもだから」と 言われたくないことが伝わってきました。これは コミュニケーションや 一般社会との繋がりから、視覚障がい者と 一般の差を 理解して欲しい。ノーマライゼーションって 一体なんなのかを 感じられる内容でした。
最後に、今回の二人は、先天的な視覚障がい者、中途で徐々に 視力低下がみられる視覚障がい者。十人十色のため、決めつけは いけませんが、様々な面で 現実的な差が 生まれてしまう 現実の認識にも 繋がると感じます。


以上が、「さっち」さんと「さわっち」くんからの感想文です。
二人の感想文からも、今回の初挑戦の講座が、いかに素晴らしいものであったか、参加されていない方にも、伝えられたのではないかと思います。
それでは、最後まで読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。
「めねっと」への、皆さんからのメッセージをお待ちしています!


今回の写真は、めねっとの思い出の1枚
2019年8月に開催した、めねっと版 社会見学会の 札幌競馬場
会員の目の前をサラブレッドが走り抜けています。

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