シルクパパの神戸遠征!

旭川在住会員で盲導犬ユーザーのシルクパパ。網膜色素変性症の唯一の治療法と言われる、ips細胞移植治験者候補として選ばれ、神戸に出向きました。「見えるようになったら障害者手帳は返すさ!」と明るく宣言して。
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神戸遠征を終えて
      宮川明博(シルクパパ)
「健康でいてくださいね」。目の治療で神戸までやってきたのに、戻ってきたのは健康診断のような言葉。それでも私は、きたる未来に希望を抱いて帰ってきました。
4月5日、神戸アイセンター。私はiPS細胞の臨床応用で世界の先頭を走る高橋政代先生に会ってきました。網膜色素変性症の臨床研究に参加するためです。私に光を取り戻してくれるかもしれない高橋先生は、まさに神様のような存在。最初で最後のチャンスと心して診察室に入りました。
結論は「まだ目が良すぎる」という診断でした。私の目にはまだ多くの視細胞が生きていて、白内障が視力に影響しているのかもしれないというのです。今回の臨床研究は視細胞がほぼ死滅した人が対象なので、私は参加できないことになります。「5年後の治験段階でお呼びします」。
5年間は治療を受けられない。でも裏を返せば、より研究が発展した段階で高度な治療を受けられる。そう思うと当面、期待に満ちた日々を過ごせる気がする―。先生の気さくな口調に安心感を覚えつつ、神戸をあとにしました。
 旅の道中の岡山県で、先生をがっかりさせるような粗相をしでかしたのでご紹介します。現地の伴走クラブの皆さんが開いてくれた懇親会での一コマです。1軒目は郷土料理を出す居酒屋。席のソーシャルディスタンスはばっちりなのに、酒のペースは切れ目なし。勧められるまま地酒を10種堪能します。2軒目はビアバー。度数の高いアメリカンIPAを4杯。ホテルに戻った時には0時を回っていました。「お客様、お客様」。午前2時半に私を呼ぶ声。だれだ、私の安眠を邪魔するのは―。「ここは廊下ですよ」。節操のない飲酒はこればかりにしようと猛省した瞬間でした。
私には視細胞を生かし続ける責任があります。それでもランニング後の 1杯、いや2杯だけは勘弁してください。将来、文字通り明るいゴールテープが待っていると信じて、私はあすも楽しく走って”適度”に飲むのです。